Klaviyoのメール設計は、
日本でも同じように通用するのか。
幅600pxとキャリアメールの話
Klaviyoの公式ヘルプや海外の解説を読みながら、「これ、日本のお客様に送る場合もそのまま当てはまるのだろうか」と手が止まったことはありませんか。書かれていることは筋が通っているのに、日本の受信環境を思い浮かべると、どこか噛み合わない感じが残る。
結論から整理すると、噛み合わないのは一部だけです。メールのデザインに関する定石のほとんどは、国が変わっても事情が変わりません。理由は単純で、メールソフトが世界共通の製品だからです。Gmailも、Outlookも、Apple Mailも、日本語版だけ表示の仕組みが違うわけではありません。
ただし、日本には海外の教材が想定していない受信環境が1つあります。キャリアメール——@docomo.ne.jp や @ezweb.ne.jp のアドレスです。ここだけは、各社が公式に「こう扱います」と書いている挙動が、Klaviyoの前提とずれます。そしてこのずれを知らないまま画像中心のメールを設計すると、一部のお客様には意図した内容が届かないまま、送信側は成功したと認識し続けることになります。
この記事では、Klaviyoが教えるメール設計の定石を「日本でもそのまま使える部分」と「前提が変わる部分」に分けて整理します。判断の根拠になった各社の公式ページは、すべて本文中にリンクを置いています。
あわせて読みたい:Klaviyoとは?Shopify Messagingとの違い|CRMツールの選び方
そもそもKlaviyoがどういうツールなのか、Shopify標準のメール機能と何が違うのかは、こちらで整理しています。
1. 日本のストアで変わるのは「デザインの前提」
以前、Klaviyoを日本のストアで使うときに前提が変わる部分を5つ整理しました。あれは運用の話でした。料金の数え方、到達率の管理、特定電子メール法への対応、管理画面の言語。どれも「送る仕組みをどう構えるか」の話です。
この記事で扱うのは、その手前にある作るときの話です。テンプレートの幅をいくつにするか、画像をどれくらい使うか、文字を画像の中に入れてよいか。海外の教材が当たり前の前提として書いていることを、日本のお客様に送る場合にどこまで信じてよいのかを見ていきます。
先に結論
- 幅600pxは、日本でもそのまま使える。メールソフトは世界共通の製品なので、国によって表示の仕組みが変わらない
- 画像の扱いだけは、日本のほうが慎重に考える必要がある。キャリアメールに、各社が公式に説明している独自の挙動があるため
- つまり、Klaviyoが言う「画像だけのメールにしない」は、日本では海外の教材が想定しているより重い意味を持つ
2. 幅600pxは、日本でも変えなくていい
Klaviyoで新しくテンプレートを作ると、幅は最初から600pxで入っています。触る必要はありません。Klaviyoの公式ヘルプにも、すべてのテンプレートの初期値が600pxであること、そして高度なレイアウトが必要な場合を除いて幅を広げることは推奨しないと書かれています(2026年8月時点)。
「Klaviyo doesn't recommend increasing the width of your template unless this is required for a more advanced layout.」
(より高度なレイアウトのために必要な場合を除き、テンプレートの幅を広げることは推奨しません)
出典:Optimal email template width reference(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
なぜ600pxなのか
この数字には理由があります。昔からあるメールソフトの表示領域が、だいたい500〜600pxでした。その中に収まる幅として600pxが選ばれ、業界の標準として定着し、以降のメールソフトも「だいたいそのくらいの幅で来る」前提で作られてきました。
A4用紙の幅のようなものだと思ってください。物理的にその寸法でなければならない必然はありませんが、世界中の道具がそれを前提に作られてしまったので、今さら外れると全部が噛み合わなくなる。そういう種類の標準です。
そして、ここが日本のストアを運営する方にとって大事な点です。メールソフトは世界共通の製品です。日本語版のGmailだけ表示領域が違う、ということはありません。だから幅の話に関しては、Klaviyoが書いていることをそのまま適用して構いません。
3. 日本の配信事業者も、同じ600pxを基準にしている
「本当に日本でも同じなのか」を確かめるために、日本のメール配信事業者が自社で公開している解説も見てみました。結果として、同じ数字に揃っています。
| 事業者 | 公開している基準 |
|---|---|
| シナジーマーケティング | 「HTMLメールの横幅設計において最も広く採用されている基準が600px前後」 出典:メルマガの最適な画像サイズとは?スマホ時代のHTMLメール作成術 |
| Zoho Campaigns | 「バナーの横幅は600pxを上限に設計することで、多くのメールアプリやブラウザで最適に表示されます」 出典:メルマガのバナー完全ガイド |
ここで挙げているのは、いずれも日本でメール配信サービスを提供している会社が、自社の顧客向けに公開している基準です。「日本の配信事業者が何を推奨しているか」という話については、この2社のページ自体が当事者の一次情報にあたります。
Klaviyoと日本の事業者が、別々に同じ数字にたどり着いているのではありません。同じメールソフトを相手にしているから、同じ答えになるのです。この一致が、「デザインの定石は輸入してよい」と判断してよい根拠になります。
4. 前提が変わるのはここ:キャリアメール
ここからが、海外の教材には書かれていない部分です。
@docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jp。携帯電話会社が発行するメールアドレスで、日本ではキャリアメールと呼ばれています。
「今も使っている人がいるのか」と思われるかもしれません。使われ続けている、と考えてよい理由があります。携帯電話会社自身が、回線を解約したあともメールアドレスだけ使い続けられる有料サービスを用意しているからです。NTTドコモは「ドコモメール持ち運び」を2021年12月16日に開始しており、料金は1メールアドレスあたり月額330円(税込)です。
出典:報道発表資料:「ドコモメール持ち運び」を提供開始(NTTドコモ公式)
回線を手放してもなお、月額を払ってでも残したい人がいる。だから携帯電話会社はそういうサービスを作る。ストアの会員登録にこのアドレスが使われている可能性は、十分にあります。まずはご自身のリストで、どのドメインがどれくらいの割合を占めているかを確認してみてください。ここはストアによって大きく変わるところです。
5. 何が起きるのか。ドコモとauで、止まり方が違う
キャリアメールで何が起きるかを、各社の公式ページで確認しました。興味深いことに、会社によって止まり方が違います。(いずれも2026年8月時点の記載内容です)
ドコモ:画像がブロックされた状態で届く
ドコモメールをブラウザで見る画面のヘルプには、「画像表示制御(イメージブロック)」という機能の説明があります。
「受信メールやゴミ箱内のメールに外部リンク画像が含まれている場合、プライバシー保護のため、外部リンク画像をブロックし、「画像を表示バー」を表示します。「画像を表示」ボタンを押下すると、ブロックされている外部リンク画像が表示されます」
出典:ドコモメール ヘルプ(メール閲覧画面の説明)(NTTドコモ公式)
メールそのものは届きます。ただし、お客様がボタンを押すまで画像は出ません。押さずに閉じた場合、そのお客様が見たのは画像が抜け落ちた状態のメールです。
au:設定によっては、メールごと届かない
auの迷惑メールフィルターには「HTMLメール規制」という項目があります。公式ページの説明はこうです。
「メールマガジンやPCから送られてくるメールの内容にHTML形式の記述が含まれると、それらのメールが受信できない場合があります。」
同じページには「URLリンク規制」も並んでいて、こちらを有効にすると「メールマガジンや情報提供メールの受信、あるいは一部のケータイサイトへの会員登録などができなくなる場合があります」と書かれています。
出典:URLリンク/HTMLメール規制|迷惑メールフィルター機能(au公式)
こちらは画像が出る出ない以前の話です。HTML形式で作ったメールが、そもそも受信されない可能性がある。Klaviyoで作るメールは基本的にHTML形式なので、この設定を有効にしているお客様には届かないことになります。
注意:ここは断定できない部分です
これらの設定が初期状態で有効になっているかどうかは、各社の公式ページには書かれていませんでした。探した範囲では見つからなかった、というのが正確なところです。ですので「日本のキャリアメールには届かない」と一般化はできません。言えるのは、そういう設定が公式に用意されていて、有効にしているお客様には影響が出る、というところまでです。
欧米との違いは「深刻さの段差」
画像が出ないこと自体は、日本だけの現象ではありません。Klaviyoの公式ヘルプにも、こう書かれています。
「Certain inboxes, including Outlook and Apple Mail, will not display images until a recipient opts in to see them.」
(OutlookやApple Mailを含む一部の受信箱では、受信者が表示を許可するまで画像が表示されません)
出典:About email images best practices(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
つまり「画像が止まる」ところまでは、世界共通の課題です。日本で変わるのは、その先に段差がもう一段あるという点です。
| 止まり方 | 該当する環境(公式の記載にもとづく) | お客様に届くもの |
|---|---|---|
| 画像が保留される | Outlook、Apple Mail(Klaviyo公式)/ドコモメール(ドコモ公式) | 本文は読める。画像は許可すれば出る |
| メールごと受信されない場合がある | auのHTMLメール規制を有効にしている場合(au公式) | 何も届かない |
そして送信側から見ると、どちらも見分けがつきにくいという共通点があります。管理画面の数字を眺めているだけでは、「画像を見てもらえなかった」のか「そもそも届かなかった」のかは分かりません。だからこそ、設計の段階で影響を受けにくい作りにしておくほうが確実です。
「自分のストアのリストにキャリアメールがどれくらいあるか分からない」「メールの作りをどこまで直すべきか判断がつかない」という場合は、現状の整理からサポートします。
6. 「画像だけのメールにしない」は、日本ではもっと重い
Klaviyoのアクセシビリティに関する公式ヘルプには、はっきりこう書かれています。
「Avoid image-only emails.」「Avoid using images to convey key details.」
(画像だけのメールは避ける。重要な情報を画像で伝えるのは避ける)
出典:Accessibility in emails and forms best practice reference(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
この一文は、海外の文脈では主にアクセシビリティの話として語られます。読み上げソフトを使う方に配慮する、画像をオフにしている人にも伝わるようにする、という趣旨です。
日本では、ここにもう1つ実務的な理由が乗ります。前の章で見たとおり、画像が保留される受信箱が確実に存在し、さらに設定によってはHTML形式のメール自体が受信されない場合もある。同じ助言なのに、守らなかったときの損失が日本のほうが大きくなるということです。
具体的にやること
「50%OFF」「送料無料」「9月30日まで」のような、伝わらないと困る情報を画像の中に入れない。バナー画像に入れるのは構いませんが、同じ内容を必ずテキストでも書いておきます。画像が出なかったお客様に残るのは、テキストの部分だけです。
画像が表示されないときに代わりに出る説明文です。Klaviyoの公式ヘルプも「Add alt text to all of your images」と書いています。読み上げソフトもこれを読みます。ここを空欄のまま送ると、画像が出ない環境では本当に何も残りません。
Klaviyo公式が示している目安は、ファイルサイズは1MB以下(上限は10MB)、横幅いっぱいの画像は600〜1000px、高さは2000px未満、解像度は72dpi、形式はJPEG・PNG・GIF。重い画像は、表示される前に閉じられます。
普段お使いのパソコンのアドレスだけでは足りません。フリーメール、パソコンのメールソフト、キャリアメールの3系統に送り、それぞれ実機で開いて確かめます。Klaviyoのプレビュー画面はパソコンのブラウザ上の再現なので、キャリアメール側の挙動までは再現されません。ダークモードでの見え方も、このとき一緒に確認しておくと安全です。
出典(画像の条件・alt):About email images best practices、Accessibility in emails and forms best practice reference(いずれもKlaviyo公式ヘルプ・英語)
どこまで徹底するかは、リストの構成によって変わります。キャリアメールがほとんどいないストアなら、ここまで神経質になる必要はありません。逆に、実店舗の店頭で会員登録を集めてきたストアでは、割合が高いことがあります。まず自分のリストを見る、というのが最初の一歩です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: Klaviyoのテンプレート幅は、日本向けの配信でも600pxのままでよいですか?
A: はい、そのままで問題ありません。Klaviyoの公式ヘルプは、すべてのテンプレートの初期値が600pxであること、そして高度なレイアウトが必要な場合を除いて幅を広げることは推奨しないと明記しています。日本の配信事業者も同じく600px前後を基準としており、この点で日本と海外の前提は変わりません。
Q2: キャリアメール宛の配信は、やめたほうがよいですか?
A: やめる必要はありません。届かなくなるわけではなく、見え方が変わる可能性がある、という話です。問題は、キャリアメールのお客様がリストに何割いるかを把握しないまま画像中心のメールを送り続けることです。まずはリストのドメイン構成を確認し、そのうえで画像なしでも用件が伝わる作りにしておけば、多くの場合は対応できます。
Q3: キャリアメールで正しく表示されているか、送信側から確認できますか?
A: 個々の受信箱でどう表示されたかまでは、送信側からは分かりません。確実なのは、自分でキャリアメールのアドレスを用意してテスト送信し、実機で開いて確かめることです。Klaviyoのプレビュー画面はパソコンのブラウザ上の再現なので、キャリアメール側の挙動までは再現されません。
Q4: HTMLメールをやめてテキストメールにすれば解決しますか?
A: auの迷惑メールフィルターにあるHTMLメール規制は、メールの内容にHTML形式の記述が含まれる場合を対象としているため、テキストのみのメールであれば影響を受けにくくなります。ただし、テキストだけにすると商品ブロックやデザインが使えなくなり、他のお客様に届く見え方も同時に変わります。すべてをテキストにするのが正解とは限らず、お客様の構成によって判断が変わります。
Q5: テスト送信は、どのアドレス宛に送ればよいですか?
A: 普段使っているパソコンのアドレスだけでは足りません。Gmailなどのフリーメール、パソコンのメールソフト、そしてキャリアメールの3系統に送って、それぞれ実機で開くのが安全です。ダークモードでの表示も、あわせて確認しておくと崩れに気づきやすくなります。
8. まとめ
Klaviyoのメール設計の定石は、日本でもほとんどそのまま使えます。メールソフトが世界共通の製品である以上、幅の話もレイアウトの話も、国境で変わる理由がないからです。
変わるのは、キャリアメールという受信環境が1つ加わることによって、「画像だけのメールにしない」という助言の重さが増すという点です。海外では主にアクセシビリティの配慮として語られることが、日本では届くかどうかの実務に直結します。
この記事のポイント
- Klaviyoのテンプレート幅600pxは初期値のままでよい。公式も、高度なレイアウトが必要な場合を除いて広げることは推奨していない
- 日本の配信事業者も600px前後を基準にしている。メールソフトが世界共通の製品だから、答えも同じになる
- ドコモメールは、外部リンク画像をプライバシー保護のためブロックし、「画像を表示」ボタンで表示する仕組みを公式に説明している
- auには「HTMLメール規制」という設定があり、有効にするとHTML形式の記述を含むメールが受信できない場合があると公式に書かれている
- これらが初期状態で有効かどうかは、公式ページには記載が見つからなかった。「日本では届かない」と一般化はできない
- だからこそ、画像が出なくても用件が伝わる作りにしておく。文字は文字として置き、altを全部入れ、キャリアメール宛にもテスト送信する
- どこまで徹底すべきかは、リストのドメイン構成によって変わる。まず自分のリストを見るところから
デザインの話は感覚で決めてしまいがちですが、メールに関しては「誰の受信箱で、どう表示されるか」から逆算するものです。海外の教材をそのまま輸入してよい部分と、日本の事情を足すべき部分を分けて考えると、判断がぶれにくくなります。
なお、送信ドメイン認証や到達率の管理、特定電子メール法への対応といった運用側の前提は、この記事では扱っていません。そちらは別の記事で整理しています。
あわせて読みたい:Klaviyo導入前に確認したい5つのこと|日本のストアで前提が変わる部分
料金の数え方、到達率の管理、特定電子メール法への対応など、運用側で前提が変わる部分はこちらで整理しています。
あわせて読みたい:Klaviyoとは?Shopify Messagingとの違い|CRMツールの選び方
Klaviyoの位置づけと、Shopify標準のメール機能との違いはこちらをご覧ください。
メールの設計についてお悩みはありませんか?
この記事で、Klaviyoの定石のうち日本でそのまま使える部分と、前提が変わる部分についてはご理解いただけたかと思います。
しかし、「自分のストアのリストはどうなっているのか」「今あるメールを直すとしたら、どこから手をつけるべきか」「メールとLINE、どちらにどこまで力を入れるべきか」といった疑問も残っているかもしれません。
こんなお悩みはありませんか?
- 「メールは送っているけれど、ちゃんと見られているのか自信がない」
- 「海外のツールの説明を読んでも、日本のお客様に当てはまるのか判断できない」
- 「顧客への連絡手段が増えてきて、どれをどう使い分ければいいのか分からない」
ストアの状況に合わせて、運用改善・CRM・顧客導線の設計をお手伝いしています。
初回購入・リピート購入につながる顧客導線の設計を通じて、
ストアに合った仕組みづくりをサポートします。
Shopifyストアの運用改善について、お気軽にご相談ください。
※無料相談会では、押し売りは一切ありません。
あなたのストアの現状をお聞きし、最適な施策を一緒に考えます。
0 comments