Klaviyoを検討する前に確認しておきたい5つのこと
日本のストアで前提が変わる部分
Klaviyoについて調べていて、「うちのストアにも合いそうだ」というところまでは来た。ただ、実際に申し込むボタンを押すかというと、もう一歩踏み切れない。そんな状態の方に向けて書いています。
この迷いは、慎重すぎるわけではないと思っています。Klaviyoは海外で作られたツールで、日本のストアが使う場合、いくつか前提が変わる部分があるためです。それは機能の優劣ではなく、料金の数え方であったり、メールを送る土台の考え方であったり、日本の法律との兼ね合いであったりします。導入前に知っていれば準備できるものの、入れてから気づくと戻しにくい、という性質のものが多いのが特徴です。
戻しにくい理由ははっきりしています。配信の土台を移すという作業は、連絡先データ、同意の記録、テンプレート、自動配信の設定が絡み合うためです。一度そちらで走り始めてから「やはり合わなかった」となると、元に戻す手間は導入時よりも大きくなります。判断そのものより、判断する前にどこまで確認できているかが効いてくる領域です。
この記事では、日本のShopifyストアがKlaviyoを検討する際、事前に確認しておきたい5つの点を整理します。記載した内容は可能な限り、Klaviyo・Shopify・Google・総務省の公式資料で確認したもので、該当箇所に出典へのリンクを置いています(いずれも別のタブで開きます)。なお、Klaviyoがそもそもどういうツールで、Shopify Messagingとどう違うのかについては別の記事で扱っています。
あわせて読みたい:Klaviyoとは?Shopify Messagingとの違いと、CRMツールの選び方
そもそもKlaviyoが何のためのツールなのか、Shopify標準機能と何が違うのかはこちらをご覧ください。
1. 料金が「送った数」ではなく「持っている連絡先の数」で決まる
ここが最初の、そして一番大きな考え方の切り替えです。
Shopify Messagingの料金は、送った通数で決まります。毎月1万通が無料枠として与えられ、超えた分は1,000通ごとに1ドル。使わなかった分は翌月に繰り越されず、カゴ落ちの自動配信は無料枠を消費しません。使った分だけ、という分かりやすい形です。配信を控えれば費用は下がります。
出典:Shopify Messaging email pricing(Shopifyヘルプセンター・英語)
Klaviyoは違います。連絡先を何件持っているかで料金が決まります。2025年2月18日に「アクティブプロフィール」という数え方へ変わりました。Klaviyoはこれを「Klaviyoからメールを送れるすべてのプロフィール」と定義しています。配信停止などで除外(suppress)した連絡先は数に入りませんが、それ以外は、今月一通も送らなかったお客様も同じ1件です。
出典:FAQ: Feb 18 billing changes / Understanding active profile management in Klaviyo(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
この違いは、実際の請求額に効いてきます。たとえば3年前に一度だけ購入されたきり動きのないお客様が数千件たまっているストアの場合、その方々に何も送っていなくても、抱えている件数として料金に反映されます。逆に言えば、Shopify Messagingの感覚で「配信を控えているから安いはず」と考えると、想定とずれます。
| 比較項目 | Shopify Messaging | Klaviyo |
|---|---|---|
| 料金の基準 | 送った通数 | 持っている連絡先の数 |
| 無料の範囲 | 月1万通まで | 250件・月500通まで |
| 配信を控えたとき | 費用が下がる | 件数が変わらなければ下がらない |
| 休眠顧客の扱い | 送らなければ費用に影響しない | 除外していなければ件数に含まれる |
2026年8月時点。出典:Shopify Messaging email pricing(Shopifyヘルプセンター・英語) / Understanding how free and paid plans differ(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
もうひとつ、請求の動き方にも癖があります。プロフィール・メールのプランでは、契約した時点で自動アップグレードが有効になっているとKlaviyoは明記しています。一方、連絡先が減ったときの自動引き下げについては「有効にすることを選べる」という書き方で、アカウント設定の Billing > Preferences から切り替えます。有効にした場合、引き下げの判定は請求期間が終わる24時間前です。ここを設定していないと、セールで一時的に増えた連絡先の分だけ料金が高いまま続くことになります。
出典:How to choose your upgrade preference(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
無料で試せる範囲も、この数え方に沿っています。Klaviyoの無料プランは250プロフィール・月500通までで、プロフィール数を超えると、250件以下に減らすかプランを上げるまで配信できなくなります。あわせて、無料アカウントではメールのフッターと登録フォームにKlaviyoのロゴ表示が入り、これは有料にしないと外せません。メールでのサポートも登録から60日間に限られます。
出典:Understanding how free and paid plans differ(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
注意:件数の整理は導入前に済ませておく
連絡先データをそのまま移すと、長く反応のないお客様も含めた件数で料金の段階が決まります。何年も動きのない連絡先をどう扱うか、配信対象をどこまでにするかは、移す前に決めておいたほうが結果的に安く収まります。移してから整理すると、その月はすでに上の段階で請求される場合があります。
ここで補足しておきたいのは、これがKlaviyoの欠点というわけではない点です。顧客一人ひとりの行動を蓄積する基盤なので、「抱えているデータの量」で課金するのは仕組みとして筋が通っています。ただ、通数で数える世界から移ってくると発想が逆になるため、最初に確認しておきたい部分だと考えています。
2. メールが届くかどうかの土台を、自分で見ることになる
Shopify Messagingを使っているあいだ、メールが迷惑メール扱いされないための設定について、あまり意識したことがない方が多いと思います。Shopifyの側で用意されているためです。
Klaviyoでも、最初から何もできないわけではありません。Klaviyoが用意している共有の送信ドメインをそのまま使うことができ、Klaviyoは「共有の送信ドメインでは、SPFとDKIMによる認証が自動的に行われる」と説明しています。独自ドメインの設定は必須ではありません。この点は「必ず必要」と書かれている解説も見かけるので、念のため触れておきます。
ただ、そのまま進むかどうかは考えどころです。DMARCという仕組みに対応するには、送信元アドレスのドメインと一致する自社ドメインを設定する必要があるとKlaviyoは述べています。
出典:Understanding email authentication(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
そしてGoogleは、Gmailのアドレス宛てに24時間で約5,000通以上を送る事業者を「大量送信者」と定義し、2024年2月1日以降、SPF・DKIMに加えてDMARCの設定を求めています。今は届いていても、配信量が伸びていけば向き合うことになる話です。
出典:Email sender guidelines(Gmailヘルプ・英語)
自社ドメインで送る設定には、DNSレコードの追加という作業が入ります。Klaviyoの手順では、最大3件のCNAMEまたは4件のNSレコードに加えて、ドメイン所有の確認用にTXTレコードを1件登録します。ドメインを管理している場所、たとえばお名前.comやCloudflare、あるいはShopifyの管理画面で作業することになります。検証が通ったあとも自動では適用されず、自分で「Apply domain」を押す必要があります。
出典:How to set up a branded sending domain(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
作業そのものの難易度は高くありません。ただ、誰がその画面に入れるのかという話になります。
ドメインの管理を制作会社に任せている、あるいは以前の担当者が設定したまま引き継がれていない、という状況は珍しくありません。この場合、Klaviyoの導入そのものより、DNSを触れる人を確保するところで止まります。検討段階でここを確認しておくと、あとの進みが変わります。
3. 日本の法律への対応は、自分で設計する必要がある
広告や宣伝のメールを送る場合、日本では特定電子メール法という法律が関わります。事前に同意を得ること、送信者の情報を明示すること、配信停止の手段を用意することなどが求められます。
出典:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(総務省)
Klaviyoが公式ヘルプで扱っている法規制は、GDPR(EU)、CCPAおよびCPRA(カリフォルニア州)です。日本の特定電子メール法についての記載は見当たりません。またKlaviyo自身、これらの説明は教育目的であり法的助言ではない、コンプライアンスについては弁護士に相談するように、と明記しています。機能が足りないという意味ではなく、日本向けの設計は自分で行う前提だ、ということです。
出典:How to comply with data privacy laws(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
具体的には、次のような点を自分で決めて反映していくことになります。
登録フォームで何にどう同意していただくのか。購入時のチェックボックスをどう扱うのか。同意した記録がどこに残るのか。
事業者名、住所、問い合わせ先をメール本文に載せるのか、リンク先のページに置くのか。テンプレートごとに揃っているか。
日本語で、お客様が迷わない位置にあるか。テンプレートを作り替えたときに欠けていないか。
既存の連絡先を移す場合は、もう一段の確認が要ります。Shopify側にある顧客データには、マーケティングメールへの同意状況が記録されています。移行の際にこの状態を正しく引き継げているか、同意していない方まで配信対象に入っていないか。ここは件数だけを見ていると気づきにくく、あとから問題になりやすい部分です。
なお、どこまでを法律上の必須と考え、どこからを運用上の配慮とするかは、扱っている商材や過去の同意の取り方によって変わります。判断に迷う場合は、専門家に確認したほうが確実な領域でもあります。
4. 管理画面に、日本語が用意されていない
Klaviyoの管理画面は英語しか使えない、と紹介されることがあります。正確にはそうではありません。11の言語に対応していて、そこに日本語が入っていない、というのが実際のところです(2026年8月、ブログ公開時点)。
Klaviyoが挙げている対応言語は、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語(スペイン)、スペイン語(メキシコ)、スウェーデン語、オランダ語、ポーランド語です(2026年8月時点)。韓国語が入っていて日本語が入っていない、という並びになっています。
出典:How to change the language for your account(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
この違いは、検討する側にとって意味があります。「まだ対応していないだけで、いずれ来るのでは」と考えるか、「多言語化は進めているが日本語は入っていない」と受け止めるかで、待つべきかどうかの判断が変わるためです。少なくとも、多言語対応そのものをしていないツールではありません。
もうひとつ、言語設定を切り替えたとしても英語のまま残る部分があります。Klaviyoは、翻訳されるのはページやボタン、見出し、日付や通貨の表示形式、アカウントの通知、イベント名などで、あらかじめ用意されたテンプレート、フロー、セグメント作成のAI、差し込み用の変数は英語のままだと説明しています。仮に将来日本語が追加されたとしても、運用の中心にあるフローやテンプレートは英語で触ることになる、という構造です。
実務でより効いてくるのは、触れる人が限られるという点です。英語の画面に抵抗のない担当者が一人いれば運用は回りますが、その方が休んだり退職されたりしたときに、誰も設定を変えられない状態になります。自動配信は動いたままで、中身を確認できる人がいない。これは機能の問題ではなく、体制の問題です。
5. お客様に届くメールは日本語にできる。ただし有料プランの機能
操作する側の話と、お客様に届くものの話は分けて考える必要があります。届くメールについては、日本語で問題ありません。
Klaviyoには Smart Translations という機能があり、60以上の言語に対応しています。この一覧には日本語も含まれています。テキストブロック、ラベル、画像の代替テキストが翻訳の対象です。
ただし条件があります。Klaviyoはこの機能について「有料のKlaviyoアカウントが必要」と明記しています。無料プランで試している段階では使えません。また、商品フィードの内容はこの機能では翻訳されず、Shopify Marketsを使っている場合は別のローカライズの仕組みを併用することになります。
出典:How to enable Smart Translations(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
整理すると、日本語まわりは次のような分かれ方をしています。
| 対象 | 日本語で扱えるか |
|---|---|
| 管理画面の表示 | できない(対応11言語に日本語は含まれない) |
| テンプレート・フロー・差し込み変数 | 言語設定にかかわらず英語のまま |
| 自分で作るメール本文・フォーム | 日本語で作成できる |
| Smart Translationsによる自動翻訳 | 日本語に対応。ただし有料プランのみ |
2026年8月時点。出典:How to change the language for your account / How to enable Smart Translations(Klaviyo公式ヘルプ・英語)
無料プランで様子を見ているあいだは、届くメールの翻訳機能を試せません。導入の判断材料として日本語まわりを確かめたい場合、この点は順番に関わってきます。
6. 5つに共通しているのは、機能ではなく体制の話
ここまで5つ挙げてきましたが、並べてみると共通点があります。どれもKlaviyoの機能が足りないという話ではなく、誰が何を担当するかを決めずに入れると起きることです。
連絡先の件数を管理する人、DNSを触れる人、法律まわりの表示を判断する人、英語の画面を開ける人、お客様に届く日本語を確認する人。規模の大きい会社なら分かれている役割ですが、多くのストアでは、これが一人か二人に集まります。
その状態でツールだけ高機能なものに替えると、使われない機能の分だけ費用がかかる、という結果になりがちです。逆に、担当を決めて準備してから入れれば、同じツールでも定着します。差が出るのはツールの側ではありません。
ご相談をいただく中で感じるのは、多くの場合、判断に必要な材料が揃っていないだけだということです。今の連絡先が何件で、そのうち反応があるのは何件か。ドメインの管理は誰が持っているか。同意はどうやって取ってきたか。この3つが分かるだけで、Klaviyoに進むべきかどうかは、かなり見えてきます。
「うちのストアで運用が回るか分からない」「何を確認してから決めればいいか整理できない」という場合は、現状の整理からサポートします。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: Klaviyoは無料で試せますか?
A: 無料プランがあり、250件のプロフィールと月500通までなら費用はかかりません(2026年8月時点)。ただし制約があります。プロフィール数を超えると250件以下に減らすかプランを上げるまで配信できず、メールのフッターと登録フォームにKlaviyoのロゴ表示が入り、メールでのサポートは登録から60日間に限られます。日本語への自動翻訳機能も有料プラン向けです。連絡先が数千件ある既存ストアの場合、本番データを入れた時点で有料の段階に入るため、無料枠のまま判断まで済ませるのは難しい場面が多いです。
Q2: 連絡先が増えて料金が上がったあと、減らせば自動で下がりますか?
A: 設定していなければ下がりません。連絡先が増えて上の段階に入ったときの自動切り替えは契約時から有効ですが、減ったときの自動引き下げは、自分で選んで有効にする設定です。アカウント設定の請求まわり(Billing の Preferences)から切り替えます。有効にした場合、引き下げは請求期間が終わる24時間前に判定されます。セール後に連絡先が一時的に増えたまま料金が高止まりする、というのはこの設定が入っていない状態で起きます。
Q3: 独自ドメインでの送信設定は必ず必要ですか?
A: 必須ではありません。Klaviyoが用意している共有の送信ドメインをそのまま使うこともでき、その場合はSPFとDKIMの認証が自動で行われます。ただしDMARCに対応させるには自社ドメインでの送信設定が必要になり、DNSレコードを追加する作業が発生します。GmailやYahooは大量送信者に認証を求めているため、配信量が増えていく前提なら早めに整えておいたほうが安全です。
Q4: 特定電子メール法への対応は、Klaviyo側でやってくれますか?
A: 自動では対応しません。Klaviyoは米国やEUの規制を前提に作られており、日本の特定電子メール法に合わせた表示や導線が最初から用意されているわけではないためです。同意の取り方、送信者情報の表示、配信停止の導線は、自分で設計して各テンプレートに反映していくことになります。ツールの機能でまかなえる部分と、運用ルールとして決める部分が混ざる領域です。
Q5: 管理画面を日本語にすることはできますか?
A: できません。Klaviyoの管理画面は11の言語に対応していますが、その中に日本語は含まれていないためです(2026年8月時点。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語2種、スウェーデン語、オランダ語、ポーランド語)。あわせて、言語を切り替えた場合でも、あらかじめ用意されたテンプレート、フロー、セグメント作成のAI、差し込み用の変数は英語のまま表示されるとKlaviyoは説明しています。
8. まとめ
Klaviyoは、顧客の行動を蓄積して次の接点に活かすための基盤として、よくできたツールです。ただ日本のストアが使う場合、料金の数え方、送信の土台、法律への対応、言語の扱いという4方向で、事前に決めておくことがあります。どれも導入前なら準備できるものばかりで、また、いずれも公式資料に書かれている範囲の話です。
この記事のポイント
- 料金は送った通数ではなく、持っている連絡先の件数で決まる。休眠中のお客様も件数に含まれる
- 自動アップグレードは契約時から有効。減ったときの引き下げは自分で有効にする設定
- 独自ドメインでの送信は必須ではないが、DMARC対応や配信量を考えるとDNSを触れる人が要る
- 特定電子メール法への対応は自分で設計する。既存の連絡先を移す際は同意状況の引き継ぎも確認する
- 管理画面は11言語に対応しているが、そこに日本語は含まれない(韓国語は含まれる)
- 言語を切り替えても、テンプレート・フロー・差し込み変数は英語のまま
- お客様に届くメールは日本語にできる。自動翻訳のSmart Translationsは有料プラン向け
- 5つとも「誰が担当するか」を決めずに入れると起きる。差が出るのはツールではなく体制
導入を止めたほうがいいという話ではありません。むしろ、ここまで確認したうえで進めたストアは、そのあとの運用が安定しやすいと感じています。判断の前に材料を揃えておく。それだけで結果が変わる部分です。
あわせて読みたい:Klaviyoとは?Shopify Messagingとの違いと、CRMツールの選び方
そもそもどちらを選ぶべきか迷っている段階の方は、こちらから読むと順序がつながります。
Klaviyoの導入判断についてお悩みはありませんか?
この記事で、Klaviyoを検討する前に確認しておきたい点についてはご理解いただけたかと思います。
しかし、「うちの連絡先の状態でいくらかかるのか」「今の同意の取り方のままで移していいのか」「そもそも入れる時期として今が適切なのか」といった疑問も残っているかもしれません。
こんなお悩みはありませんか?
- 「ツールを替えるべきか、今のままでいいのか判断できない」
- 「顧客データを活かしたいが、何から確認すればいいか分からない」
- 「導入したものの、運用が回らなくなるのが不安」
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